判例3.妻の信仰活動が原因の離婚
離婚・慰謝料・財産分与「判例3」 ※登場人物等は仮名で表現しております。
3.妻の信仰活動が原因の離婚
結婚生活は戸籍上8年実質同居期間は1年4ヶ月判決離婚で男の子が一人いました。
哲夫は左官職、良江は女工員。良江の母はT教の分教会役員でした。母とは別居でしたが、母の影響で良江も信者でした。哲夫は当初、良江の信仰活動に特別の拒絶反応を示しませんでした。しかし、義母の熱心な入信説得は受け入れず・・・次第に寄付を断わったり嫌悪する言動を示すようになって夫婦の溝が深くなってきたのです。長男の出生に際し義母に、「子供が生まれたらあなたが引取って無宗教の人と結婚したらいいわ・・・良江には宗教的に合う人と再婚されるから!」と言われ、哲夫は精神的にいらだち・・・夫婦喧嘩で良江に手を出すようになりました。そして、長男出生3カ月後、故郷の法事に行くことを反対された良江は子を置いて家を出て母の許へ行ってしまったのです。哲夫は義母とは問題があるものの良江とは問題がないと言って夫婦関係の調停を申し立てましたが、良江は信教の違い、性格の不一致などを理由に強く離婚を求めるのみで調停は不調に終わりました。そして、結局、双方から離婚と慰謝料を求める裁判が起こされました。訴訟合戦です。裁判所は双方に夫婦生活を築く努力が欠けていたとしながらも直接の原因は義母の娘夫婦への不当な干渉と、良江が母の意志に従い哲夫からの同居要求を拒否し別居を続けたこと(悪意の遺棄)にあると認定しました。
注目
良江と母を共同不法行為者として連帯して哲夫に80万円を支払うよう判決を下しました。
(大阪高裁S54・10・5判決)
注目 宗教と離婚
日本人は宗教心がないと言われますが、実際には、日本的な神道や仏教が幼い時から心を満たしているのが普通です。宗教心がない、というよりは、自覚的な宗教ではない宗教を持っているという方が当たっています。そのため、夫婦の一方がある特定の宗教に帰依する明確な意思を持っている場合には、相手が反発したり、親戚まで巻き込んだ複雑な葛藤が生ずることが多いのです。
結婚に際しては宗教が異なることを気にしなかったのに、結婚後はあれも気に入らないし宗教も気に入らない、という場合もあります。普通の夫婦でも、宗教がからむと双方が非妥協的になる傾向があります。宗教は人格の一つですから、互いにそうなのだという相対的な観点が必要でしょう。
離婚・慰謝料・財産分与
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