判例11.再婚した妻との離婚と連れ子の離縁
離婚・慰謝料・財産分与「判例11」
※登場人物等は仮名で表現しております。
11.再婚した妻との離婚と連れ子の離縁
前夫との間の子供がある女性が再婚し、その後、離婚となったケースです。
優子は、長男、勝也をひきとって離婚しました。その後、盛雄と知り合い、勝也が盛雄になついたことから盛雄と再婚したのです。勝也は養子縁組によって盛雄の養子となりました。キツイ性格で何でもポンポンと言う優子と内向的な盛雄は、はじめからうまくいかず・・・日常生活の細部にまで口うるさい優子に盛雄はしだいに自信を失い、仕事にまで支障が出るようになりました。盛雄は心療内科に通院するようになったのですが、それでも優子の態度は変わらず、婚姻後約四カ月、同居後約三カ月で盛雄は家を出て実家に戻ってしまったのです。盛雄は「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在するとして優子との離婚と養子にした勝也との離縁を求める調停を申立てました。
注目
調停は成立せず訴訟にまでなりました。裁判所の判断は・・・優子は「婚姻を継続し難い事由」など存在せず、離婚、離縁には応じられないと主張しました。婚姻関係がこじれてしまった原因は話合いの不足にあり、その責任はどちらか一方にだけあると言えない。夫の請求を棄却して話合いの場を設けるということも検討すべきところがある。しかし本件の場合、正常な婚姻関係を築いていくことは困難であると認められる。として・・・盛雄の請求する離婚と離縁を認めたのです。
(神戸地裁H15・5・30判決)
注目 連れ子のいる場合の離婚
幼い子がある人が再婚する場合、再婚相手と養子縁組をすることが多いと思います。この裁判例では、妻が前夫との間の子を再婚相手の養子にしています。この夫婦が離婚する場合、離婚と離縁とは一応関係ないのですが、離婚した養父と養子の間の養親子関係が円満に継続するという事情はあまり考えられないので、離婚と同時に離縁もするのが普通です。離婚について協議離婚が成立しない場合は、調停、訴訟と進みますが、離婚と同時に行う離縁の請求に関しては、裁判所はあまりうるさく言わずに離縁を認めています。本来訴訟で離縁が認められるためには・・・
①悪意の遺棄
②3年以上の生死不明
③その他縁組を継続し難い重大な事由という要件が必要ではあります。離縁の方法は離婚と同様で、「協議」「調停」「審判」「裁判上の和解」「請求の認諾」の5種類があります。
離婚・慰謝料・財産分与
Copyright (C) ,浜松 探偵|総合探偵事務所アビイ・ロード浜松, All rights reserved.