判例12.離婚の際の住宅利用権と財産分与
離婚・慰謝料・財産分与「判例12」 ※登場人物等は仮名で表現しております。
12.離婚の際の住宅利用権と財産分与
結婚生活は10年で判決離婚、男の子が一人いました。
離婚原因は夫、修二の競輪、競馬、マージャンその他あらゆるギャンブル、サラ金、借財による生活破綻です。妻、優奈が自宅で開いている音楽塾の収入で生活してきましたが、数年来の家庭内離婚の状況でした。家庭裁判所での調停は不調となりついに離婚訴訟に至ったのです。訴訟では修二も離婚、親権者の指定、財産分与400万円(優奈の収入で生計を支えてきたことに対する清算の意味)については争いませんでした。しかし、修二名義の建物に対する借家権の設定分与が争点になりました。妻 「長年ここでピアノ教室を開いているからここを出たら生徒も失ってしまうわ・・・暮らしていけない」
注目
判決は優奈の今後の生活のためには当分のあいだ本件建物の利用が不可欠であると認め、貸主(修二)借主(優奈)で離婚の日から子が成人に達する日まで賃料六万円の借家権を設定する財産分与を認め・・・夫、修二に借家権の登記手続きを命じました。
(浦和地裁S59・9・26判決)
注目 住宅難と離婚
財産分与の方法、あるいは財産分与に伴う付随的処分として、夫婦の一方が所有する不動産に、他の一方のために、賃借権、使用借権(無償の貸し借り)などの利用権を設定することができるかどうかは問題ですが、ケースのように、分与の一つの態様として可能であるとされています。離婚した相手との間に貸し借り関係を残すことを嫌がるのが普通で、一般的な分与とはいえませんが、離婚後の生活を考えると、住宅難の今は、こういう型の分与がやむを得ないこともあるでしょう。借家契約になる場合は、借家権の登記までしておけば、万一その家が売られてしまっても、新家主に対抗できます。
離婚・慰謝料・財産分与
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