判例14.夫の不貞が原因の離婚と扶養的財産分与
離婚・慰謝料・財産分与「判例14」
※登場人物等は仮名で表現しております。
14.夫の不貞が原因の離婚と扶養的財産分与
婚姻期間55年に及ぶ老年夫婦の離婚です。ただし後半17年は別居でした。
注目
裁判所は妻が75歳であり離婚すれば婚姻費用の分担分の支払いを受けることもなくなり相続権も失う反面・・・平均余命10年はあると推定される老後を生活の不安にさらされながら生きることになりかねないとし・・・離婚しない場合に夫が負担すべき婚姻費用分担額を月額約10万円とみて、妻に払うべき財産分与として右10年分に相当する1,200万円を算定しました。慰謝料としては夫に1,000万円のほか、愛人にも500万円の支払いを命じました。(東京高裁S63・6・7判決)
妻子ある人と 知りながら愛人関係を継続した責任は重いのです。
老年夫妻の離婚
このケースは老年夫婦の扶養的財産分与の事例として、高齢化社会を迎え、高齢者の離婚も増えている折柄、実務上は注目を集めました。一審では、慰謝料として夫に800万、愛人に300万円、清算的財産分与として2,000万円の支払いが命じられましたが、二審の高裁では上記のとおりで、一審で清算的財産分与の対象とされた不動産(名義は愛人ですが夫が大半の資金援助をした)は、清算的分与の対象とはならないとしたうえで、扶養的分与として、1,200万円を認めました。我が国では、離婚後扶養と言う習慣、意識が乏しく、拒否的反応を示す夫が多いのですが、時代の趨勢は、今後離婚後扶養を充実させるのではないかと思います。
離婚・慰謝料・財産分与
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