判例15.不貞での離婚で退職年金が財産分与した例
離婚・慰謝料・財産分与「判例15」 ※登場人物等は仮名で表現しております。
15.不貞による離婚で退職年金が財産分与された例
夫の浮気による離婚ですが、夫が将来受け取る退職年金が財産分与の対象となった例です。
結婚35年になる義彦と七海夫妻。成人した子供が二人います。妻、七海は専業主婦です。夫、義彦は数年前から趣味のサークルで知り合った女性、恵理子と不倫関係を持つようになりました。すぐに七海の知るところとなり、七海は不貞関係を止めるよう要求しましたが、義彦は女性との関係を続けています。というわけで、七海さんは離婚を決意し夫とその相手に対する慰謝料請求、さらに2,000万円を超える財産分与を請求する訴訟を起こしました。
注目
判決はまず夫婦の婚姻関係は義彦と恵理子との不貞関係によって破綻したとして、義彦に500万円、恵理子に300万円の慰謝料請求を認めました。そして、財産分与については夫婦が結婚してから築いた不動産・預貯金については、その2分の1を・・・さらに、義彦が将来受給するであろう退職年金の60%の2分の1も財産分与すべしと命じました。(仙台地裁H13・3・22判決)
年金分については支給された日が属する月の末日までに支払うこと・・・数年後に定年退職となるなど受給の蓋然性が高い場合、同居期間に対応する部分の退職年金は財産分与の対象となります。
注目 離婚と妻の年金
平成19年4月以降の離婚では、夫の厚生年金、共済年金のうちの「標準報酬月額」の「婚姻期間に相応する部分」に対して分割請求ができます。妻は離婚しても受給開始年齢に至れば、老齢基礎年金(元々自分のもの)と分割された元夫の年金を受け取ることができるようになります。平成二〇年四月一日以降の標準報酬月額に相応する年金は請求だけで〇・五の分割を受けられます。この例は厚生年金でも共済年金でもなく企業あるいは共済組合が運用する退職年金の場合ですが、この退職年金は平成一九年四月以降でも分割制度の対象とはならず、今後も離婚時の財産分与の問題として見解が分かれたままになりそうです。つまり制度として分割手続きがない限りは履行確保の難点を解消できないのです。
離婚・慰謝料・財産分与
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